課題
自作の導入機では実験に対応できない・・・
D大学の研究員は、次に公表する論文のために真空内における実験を進めていた。しかし、今回の実験では、真空状態での位置決めが非常に重要だったため、現在使用している既製品で組み立てた自作の直進導入機では対応できないという問題が浮上した。
そして、研究員は考えた末、さらに位置決めの精度を高めるために、自ら直線導入機の先端に光電センサを設置することにした。先端に光電センサを設置して、同軸ケーブルをセンサまで引き、フランジを付けるというものだった。しかし、真空内（チャンバー内）での配線処理（同軸ケーブルの長さ〈たわみ〉や硬さ）の問題により、ストロークがうまくいかない・・・また、既製品を組み合わせているため、設定や調整が難しく、実験がスムーズに進まなかった。
海外製の導入機にありがちなサポート体制の不充分さ・・・
研究員は、配線処理などを解決するために何かいい方法はないかと、この導入機のメーカーに問合せることにした。しかし、この導入機は海外製であるため、日本にカスタマーセンターがなく、製品に関する相談や問合せは販売代理店を介して行うしかなかった。また、導入機にカスタマイズした他の既製品に関しては、それぞれ購入先が異なるため、どこにも相談できなかった。
とりあえず、研究員は代理店に「適切に配線処理する方法を提案して欲しい」と伝え、導入機メーカーからの返答を待つことにした。
しかし、1週間が経っても連絡が来ない・・・。
課題のポイント
位置決めの精度をあげるため、光電センサを設置したが、真空内での配線処理がうまくいかなかった
既製品（フランジ、ニップルなど）を寄せ集めて導入機をカスタマイズしたため、設定や調整が難しかった
導入機が海外製であるため、製品に関する問合せへの対応が遅かった
解決のポイント
入江工研がカスタマイズした中空直進導入機により、配線処理の問題が解消し、精度の高い位置決めが行えるようになった
ほとんど自社開発部品を使用し、要望に沿って適切にカスタマイズしてくれたため、実験に際しての設置や調整に手間が掛からなくなった
入江工研は国内工場があり、サポート体制もしっかりしているため、相談やトラブルの対応が早くなった
導入機の課題を解決した入江工研の的確なコンサルティング力
困った研究員は、国内で導入機を扱っている企業をWEB上で探すことにした。そして、入江工研のコーポレートサイトでベローズ式直進導入機を見つけた。以前から会社は知っていたが、「ベローズ」や「バルブ」のメーカーというイメージが強かったため、導入機を扱っていることは知らなかった。
早速、アポイントを取り、担当営業に導入機でどのような動作を実現したいかを伝え、自らカスタマイズした実機を見てもらった。チャンバー内をポートから見ると、「やはり、この配線の仕方だと動作性にも影響が出て、真空内でトラブルが発生する可能性がありますね。それに全体としては構成部品の多さも気になります。一旦社内に持ち帰って、エンジニアと相談した上で最適な提案を差し上げます」と、担当営業から理想的な答えが返ってきた。
数日後、入江工研から詳細な工作図とともに仕様書が届いた。その仕様は直進導入機ではなく、中空直進導入機をカスタマイズ・アッセンブリしたものだった。中空直進導入機は、シンプルな形状をしており、シャフトを空洞にして、そこにケーブルを通す仕様だった。この仕様により、ケーブル周りのトラブルの発生が抑えられることから、真空内での配線処理の問題が解消された。また、ベローズをはじめ、この導入機に組み込まれている部品の大半は入江工研が自社開発したもので、一つ一つの部品の品質が高く、納得のいくものだった。
この研究員の要望を満たした仕様書を見てD大学は購入を決めた。
実際、納品された導入機を使用してみると動作性も計算された設計になっており、作業効率が上がり、実験を順調に終えることができた。また、海外製とは違い、入江工研は国内に2つの工場を有し、サポート体制がしっかりしているため、気軽に相談できるようになった。
